バランス伝送の仕組み
通常バランス伝送に使用されるXLR型3ピンコネクタは
1. Ground(接地線)
2. HOT(正相)
3. COLD(逆相)
から構成されています。
元の信号をHOTとCOLDに分ける
元の信号を二つに分け、一方は正相(HOT)のまま、もう一方は位相を反転させて逆相(COLD)にして伝送。
伝送中にノイズ又は歪が発生した場合
受信時にCOLDを反転させてHOTと合成
受信時に逆相させた信号(COLD)を反転(元に戻す)させ、二つの信号を足して元の信号を復元する。COLDのノイズは反転するとHOTのマイナス側に同じだけ作用していることになるので、合成すると打ち消される。
音響機器においてのバランス伝送は、ノイズに強く長距離伝送向けの接続方式として知られている。しかし室内でのリスニングの様な近距離・大きな信号では強いノイズを受ける場合は少なく、あまりメリットはない。
(下に通常市販されているバランス伝送受けアンプの仕組みを解説)
普通のバランス伝送受けアンプ(XLR端子付きパワーアンプ)
HOT・COLDの信号をアンバランスに変換しパワーアンプを通してスピーカーに接続。
通常のアンプ回路以外にバランスをアンバランスに変換する余分な回路、又はトランスが必要になります。
また、パワーアンプ内部の動作にバランス伝送のメリットはありません。
簡易型バランス伝送受けアンプ(XLR端子付きパワーアンプ)
RCAジャックでアンバランス伝送を受けたと同じことになり、ケーブル部分のバランス伝送のメリットがなくなります。(殆どの他社様アンプはこうなっております)
当社のバランス伝送の考え方
上記のように対ノイズとしてバランス伝送をとらえると、室内のリスニングでバランス伝送を採用する意味はあまりないと考えるのが妥当と思われます。
しかし「源音をいかにそのままに伝えるか」という当社のピュアオーディオの視点から考えてアンプ回路にまでバランス伝送を取り入れたフルバランス方式は有効な方法だと考えました。
元々バランス素子(ピックアップカートリッジ、スピーカー、DAC、CDプレヤー等のバランス出力)であるものをわざわざ片側をグランド(アース)につないで扱うのは不自然。
ならば機器間の伝送のみならずアンプ等、機器もバランスのまま扱おうとしているのがEPM-30inv等のBTLアンプ、バランスのまま動作するパッシブプリアンプ”ECP-SS-2”。最初からバランス出力を装備した”EDAC-2、EDAC-2 SPECIAL”,さらにはこの度発売するモノラル構成の入出力バランス対応イコライザーアしンプ”ECM-1 SPECIAL”等でオーディオをバランスのまま入り口から出口までフルバランス対応いたします。
私共のアンプは強力で安定した電源、ノイズを抑えるスマートな内部構造によりBTL接続で理論値とされている上限に近い数値を出します。
私共で現在まで発売しているアンバランス伝送対応 BTLアンプ(EPMW-30)
通常BTL接続は、入力された信号を二つに分け、一方を逆相にしてそれぞれをアンプで増幅し、それそれをスピーカーに接続します。
アンプを二つ使用することで低い電圧でも高い電力(理論上4倍:現実には2〜3倍といわれる)を得られるので、音の荒れない低い電圧でもしっかりパワーを上げることが出来ます。
しかしこの方法だとバランス伝送のメリットがなく、位相を反転するための余分な回路が必要でした。
アンバランス対応で余分な回路(素子)を使わずにBTLアンプの良さを実現したのが上記(EPM-30W)
です。
究極のフルバランス伝送 BTLアンプ(EPM-30 inv)
そこで考えたのが、バランス伝送で送られてきたHOT・COLDをそれぞれ分かれたままアンプで増幅し、そのままスピーカーに接続する方法です。
こうすることで最後までバランス伝送のメリットを生かすことができ、またこれまでBTL接続で必要とされていた反転回路が不要になります。
2011年2月発売の EPM-30inv はバランス伝送増幅専用として開発いたしました。
2013年7月フルバランスイコライザーアンプ EMC-1 SPECIAL 及びEMM-1 SPECIALを発表いたします。
フルバランスシステム
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私どものBTLアンプはスピーカーをバランス素子としてそのまま扱い片側をアースいたしません。
同様にLPレコードを聴くためのカートリッジもバランス素子なので無理やり片側をアースすることなく音溝から拾った繊細な音粒を大切にスピーカーまで運びます。